公的資金注入 2007 11 11

 今日もまた、岩田規久男氏の本をテキストにして、
バブル崩壊後の経済について、考えてみましょう(p160、161、162、163、164)。
(参考 「小さな政府」を問いなおす 岩田 規久男 ちくま新書)
 同氏の分析によると、実は、日本と同じ時期に(1980年代の後半)、
スウェーデンも、株価と不動産価格のバブルが発生していたのです。
そして、1990年にバブル崩壊が始まったのです。
その結果、スウェーデン経済は、1991年から3年間マイナス成長となったのです。
ここまでは、日本と同じような経緯だったと言えるでしょう。
しかし、1994年と1995年には、4%成長が続き、スウェーデン経済は急回復したのです。
一方、日本経済は、「失われた10年」と言われるように長期間不景気が続きました。
 どうして、その後、日本経済とスウェーデン経済は明暗を分けてしまったのか。
それは、岩田規久男氏の本によれば、
「スウェーデンは、日本とは違って、いち早く銀行部門に巨額な資本を注入し、
銀行危機を短期間で乗り切ることに成功した」とあります。
 今でも、りそな銀行に対する巨額の公的資金注入について批判があると思いますが、
底なし沼のようになってしまった株式市場を反転させるには、仕方なかったと思います。
過度に悲観的になっている市場には、目を覚ますような巨額の公的資金注入が必要だったのです。
 さて、同氏は、スウェーデン経済の急回復の原因をもうひとつ指摘しています。
「景気の急回復の原動力は、輸出の増加と、それに誘発された民間企業投資の急増であった。
輸出が拡大したのは、世界的な好景気とスウェーデン通貨の大幅な下落であった」
 現在、住宅バブルが崩壊したと言われるアメリカ経済は、どう対応するのか。
利下げ継続でしょうか。
ドル安容認でしょうか。
しかし、そこには長期金利の上昇という不安があります。

複合不況 combined recession 2007 10 21

 バブル崩壊後の日本では、政府や日銀が、
いくら景気対策の政策を打ち出しても、
結局、景気は回復しなかったのです。
 それが、後に「失われた10年」とも、
「失われた13年」とも呼ばれることになった、
日本経済がかつて経験したことがない、
長期的な不景気となったわけです。
 最近、世界経済を見ていると、
かつての日本と同じコースを歩みそうな国があります。
 そこで、参考になるか、わかりませんが、ある本を紹介します。
この本は、経済書であるにもかかわらず、当時、話題の書となり、
意外にもベストセラーとなったのです。

「複合不況 ポスト・バブルの処方箋を求めて」
宮崎義一著 中央公論新社

「80年代半ば以降、米国と日本で起きたバブルの発生と崩壊のメカニズムを、
実証的に分析し、今回の不況は金融の自由化の帰結として生じた、
金融部門の経営悪化にリードされて引き起こされた新しい不況であること、
問題の焦点が、有効需要より信用逼迫に大きく移動したことを明らかにする。
 したがって従来のような有効需要拡大政策も、
なかなか効果を現わさない理由が解明され、
正確な診断による有効な処方箋の必要に応える労作である」
(中央公論新社)













































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